ドラッグストア薬剤師はきつい?現役薬剤師がメリットとデメリットを徹底解説

調剤併設のドラッグストアで働くのってきついでしょ?

薬剤師界ではよくこんなイメージをされている方が多いですよね。

他にも……

  • 給料が高い
  • 休みが少ない
  • キャリアが開けている

なんてイメージがつく方も多いかと思います。

ドラッグストアに興味があって、実際の業務内容や働き方が知りたいと思っている方に向けて、

大手調剤併設ドラックストアでの勤務経験がある私が、調剤併設ドラッグストアで働くことのメリットとデメリットを徹底的に解説していきます。

ネットに評判はたくさん書いてあると思いますが、ここでは他のサイトでは触れられていない

「そんなとこまで!?」と思う具体的な内容まで踏み込んでいきます。

この記事はこんな方にオススメ

・ドラッグストアでやっていけるか不安

・病院薬剤師として働いているが収入を増やしたい

・美容・健康という観点で患者さんと関わっていきたい

このまとめを読めば、調剤併設ドラッグストアで働くことの詳細なイメージができるようになりますよ!

かろすけ

詳しく書きすぎて少し長くなってしまったので、みなさん頑張って付いてきてね汗

ドラッグストア薬剤師のメリット

メリット

①給料が高い

②OTC医薬品の知識を実戦で学べる

③面調剤のため学べる科目が多い

④健康と美容に関わることができる

⑤ルーティンワークになりにくい

⑥処方箋受付〜投薬までにゆとりが生まれる

⑦店舗が広く閉塞感がない

⑧医療職以外の従業員との接点がある

⑨母体が大きいことが多く、研修制度が充実している

⑨本部の仕事が幅広く、望むキャリアが築きやすい

⑨同期の人数が多く、情報を共有しやすい

⑩店舗数が多く、家族の転勤などのライフイベントに対応できる

⑪退勤時に自店舗で買い物をして帰宅できる

ひとつひとつ詳しく見ていきましょう!

①給料が高い

ドラッグストアは給料が高いことが何よりも魅力。私の周りでも給料を理由にドラッグストアに就職する人が多くいましたね。

みなさんが知っているであろうドラッグストアの初任給をまとめてみます。

転勤などはない、いわゆるエリア職での比較です。全国職になると月給が+7万円ほどになる企業もあります。

会社名月給賞与
ウエルシア薬局株式会社355,000円年2回(7月・12月)
マツモトキヨシ321,370円年2回(6月・2月)(年俸4,820,455円)
ツルハドラッグ300,000~460,000円年2回(7月・12月)
ココカラファイン310,000円年2回(7月・12月)
スギ318,000円年2回 (7月・12月)(前年実績平均4ヶ月分)
クリエイト335,000円年2回(夏期・冬期)
サンドラッグ308,750~376,750円年2回(7月・12月)
イオンリテール283,500~303,500円年3回(5月・7月・12月)

かろすけ

やっぱりドラッグストアの初任給は高い…

ご覧の通り、全てのドラッグストアで月給が30万円を超えています。一般的な会社員の初任給が18〜22万円ほどであることを考えると破格の金額ですね。

もちろん未経験の中途入社でも新卒の月給は保証されているので、年収をUPさせたい他業種の方にはうってつけです。

月給、賞与ともに基本的に同期と大きな差が開くことはありません。

残業が毎日1時間ほど発生する店舗の場合は月給をもとに残業代を計算するため、大幅に手取りが増える傾向にあります。

マツモトキヨシの年俸4,820,455円を参考にして計算すると

  • 4,820,455円−321,370円/月×12ヶ月=964,015円(=賞与)

年2回の賞与の合計が964,015円となります。

ドラッグストアの場合、賞与を含めた1年間の収入が年俸として記載されていることがほとんどなので賞与の額を逆算することが可能です。

注意
月給が基本給+薬剤師手当となっている場合、賞与の計算に注意

賞与が〇ヶ月分と記載されている場合、基本給×◯ヶ月(薬剤師手当分を入れない)として計算されることがあるため、思ってたよりも支給額が低いなんてことも…しっかりと面接に入る段階で確認しておきましょう!

②OTC医薬品の知識を実戦で学べる

ドラッグストアと調剤薬局を比べた際の、一番の違いはOTC医薬品の取り扱いの多さです。

今では調剤薬局でもOTC医薬品を置いてあるところもありますが、ドラッグストアの比ではありません。

入社時の研修でもOTC医薬品の研修時間を長く設けられており、日々の業務で触れることが多くやりがいが大きい分野でもあります。

調剤併設ドラッグストアでは登録販売者が常駐しているパターンがほとんどなので、OTC医薬品の販売で調剤中に呼び出されることはありません。

しかし、薬剤師は要指導医薬品や第一類医薬品の販売に関与する必要があるため、その都度対応する必要があります。

調剤の仕事が落ち着いている時は積極的に売り場に出向き、悩まれている方にお声がけして提案するのはとてもやりがいがありますし、何よりも感謝されることが嬉しいです。

病院や調剤薬局で働いている大学の同期とは、やはりOTCの知識の差は結構開いているな、と感じます。勉強し始めると奥が深くて沼にハマるんですよね…笑

かろすけ

セルフメディケーションの観点からも、薬剤師としてOTCの知識をつけるのは当たり前の時代になっていくと思います!

③面調剤のため学べる科目が多い

この記事を執筆するにあたって周りの友人からも意見をもらったのですが、断トツでメリットとしてあげられたのがこちらです。

実際に私が働いていても処方元の病院が偏っておらず、内科・整形外科・脳神経外科・透析・小児科・眼科など、いろいろな病院、科目の調剤を経験することができました。

調剤薬局では門前科目の調剤することが多くなるため(大学病院門前だと話は変わりますが)幅広く科目を経験したい薬剤師にとっては大きなメリットになるでしょう。ドラッグストア独特の立地だからこそのメリットですね。

薬剤師としてキャリアを築く上で、多くの科目を経験することは必須と言えます。

かろすけ

転職する時は必ずといっていいほど経験科目を聞かれます。経験科目を広げていくことが転職先の可能性を広げていくことにつながりますよ!

④健康と美容に関わることができる

ドラッグストアではOTC医薬品以外にも多くの健康食品や化粧品を取り扱っています。特に健康食品は薬剤師が本領を発揮できる分野でもあるので、予防医療に興味がある人には楽しく働くことができます。

健康な人がさらに健康に暮らせるようにサポートできるのがドラッグストア薬剤師の魅力です!

また、パンツや吸い飲み器などの介護用品の取り扱いも充実しているためお客様の生活に大きく関わることを実感することができます。

⑤ルーティンワークになりにくい

ドラッグストアでは調剤室の中だけでなく、店舗全体の業務を担当することもあるためルーティンワークになりにくいのも特徴。

これはドラッグストアによって異なりますが、調剤室が落ち着いている時は実際に売り場に行ってお客様の対応をしたり、品出しを手伝ったりすることもあります。私はOTCや健康食品売り場あたりをうろついて積極的にお客様にお声がけしていました。

接客業が好きな方は働き方次第で、より楽しく仕事をすることができると思います。

⑥処方箋受付〜投薬までにゆとりが生まれる

ドラッグストアに処方箋を持ってくる患者さんのほとんどは、店舗内で買い物をされます。

初めに処方箋を出して、薬の用意をできるまで間は買い物をし、投薬の準備ができる状態になった時に投薬スペースに戻ってくる方がほとんどです。

特に忙しい時間帯も待合スペースが患者さんで混み合うことは少ないので若干の余裕を持って調剤をすることが可能になります。

かろすけ

患者さんも待ち時間を好きなように過ごすことができるため、待ち時間に対してイライラしている方が少なかったです。

⑦店舗が広く閉塞感がない

これは窮屈な場所が苦手な私にとってかなり大きなポイントでした。

調剤室の中ってかなり窮屈じゃないですか?調剤薬局だと待合スペースも狭いことが多いかと思います。

ドラッグストアにある調剤室は大きな店舗の中に埋め込まれているように作られているため、長時間調剤室にいても息苦しくありません。長い間狭い場所にいることが苦手な方には、かなりオススメです。

調剤室意外に居場所があると思うだけでだいぶ気が楽になります笑

⑧医療職以外の従業員との接点がある

ドラッグストアで働いているのは、薬剤師や登録販売者、調剤事務さんだけではありません。

店長やレジや品出しを担当する学生アルバイトやコスメの販売を専門に行う美容部員さんもいらっしゃいます。

医療職以外の職種の方と一緒に仕事をしていると日々新しい発見があり楽しく仕事をすることができます。パートで主婦の方も多く働いていたので、時短料理献立や掃除の仕方などを教えてもらっていました笑

医療現場独特のピリついた雰囲気はなく、アットホームに働くことができますよ。

⑨母体が大きいことが多く、研修制度が充実している

ドラッグストアの場合、どこに就職をしても企業規模が大きいため非常に研修制度が整っています。

新卒で入社しても研修は細切れに数年続くため、中途入社の場合でも研修に参加できることもあります。中途入社をする薬剤師のための研修については各社で対応が異なりますので、転職エージェントの担当者に確認しておくとよいでしょう。

研修内容は調剤に関する内容に留まらず、化粧品や健康食品、日用洗剤、害虫対策用品、介護用品など幅広く、各製品の企業さんが直々に研修を開いてくださるので、研修を受けるだけでだいぶ物知りになります。

例えばスギ薬局の研修スケジュールは以下のようになっています。

●入社1〜3年目
・生活習慣病、健康食品
・ハイリスク薬、重篤副作用
・薬物療法セミナー
・ポリファーマシー
・臨床診断、フィジカルアセスメント
・輸液療法 ほか

●4年目〜
・がん薬物療法スキルアップコース/抗がん剤、緩和薬物療法 など
・在宅専門コース/地域包括ケアシステム、褥瘡 など

これだけみても研修が充実しているのがわかります。薬剤師としての専門的なスキルを身につけられる、ニーズに合わせた研修を行っているようですね。

企業規模が大きいからこそできる内容です。

⑨本部の仕事が幅広く、キャリアの幅が広い

ドラッグストアの売り上げは調剤部門だけで構成されているわけではありません。

つまり、薬剤師としてのキャリアが幅広いことが特徴です。

これまたスギ薬局の公式サイトに記載されていた薬剤師のキャリアパスです。

・商品(開発・バイヤー) 
・人事(採用・配置)
・営業管理 
・販売促進 
・広報・C S R 
・教育、医療教育
・DI 
・在宅推進(営業・導入支援)
・医療連携(大学共同研究・敷地内薬局) 
・経営企画(新規事業・経営戦略)
・医療開発(医療誘致物件) 
・調剤薬MD(医薬品購入・GE推進)

かろすけ

こんなにたくさん!総合職だけでなく薬剤師職にもチャンスがあるのはいいですね!

この他にも、ウエルシアではシンガポール、マツモトキヨシではタイと台湾に店舗を持っているため、海外事業に関わるチャンスもあります。

日々の薬剤師業務だけでなく、枠を飛び越えて活躍の場があることはとても魅力的です!企業によっては、新しい事業を始める際に社内で幹部候補を募ったり、定期的に「やりたい!」と声をあげる機会が多くあるようですよ。

⑨同期の人数が多く、情報を共有しやすい

調剤薬局よりも企業数が少ないため、1つの会社に新入社員が集まりやすく同期の数が多いことも特徴です。グループ会社を含めると、300人以上なんてこともあります。

同期が多いことによって、働き方などの情報共有を頻繁に行うことができ、薬剤師として自分がどの程度の経験を積んでいるのかを把握しやすくなります。

かろすけ

そして何より、同年代の人数が多いので誰かしら気が合う人が見つかります笑

⑩店舗数が多く、家族の転勤などのライフイベントに対応できる

もし交際相手が転勤になってしまったらどうしますか?

ドラッグストアは全国各地に店舗があり、もし同じ名前のドラッグストアがなくてもグループ会社に出向という形で店舗を異動することが可能です。

また、ドラッグストアは年々増加しており、求人の数が増えているのが実情です。

実際に私の友人にも、彼氏の転勤に合わせて店舗異動した人がいました。

ライフイベントに合わせて給料や待遇もそのまま、場所を変えて仕事が続けられるのは大きなメリットです。

⑪退勤時に自店舗で買い物をして帰宅できる

最後のメリットがこれ!?と思われるかもしれませんが、重要なポイントです笑

「あ、洗剤買って帰らなきゃ…!」って時に自店舗で買い物をして帰ることができるのでかなり助かります。

お子さんがいらっしゃる薬剤師の方は、お子さんのためのおむつやお菓子などをよく買って帰っていました!

かろすけ

社員割引を行なっている会社がほとんどなのでとてもありがたいですよ♪

それでは次はデメリットを見ていきましょう。

ドラッグストア薬剤師のデメリット

デメリット

①勤務時間が幅広い

②日曜・祝日に勤務がある場合がある

③レジ打ちを行う場合がある

①勤務時間が幅広い

ドラッグストア薬剤師の勤務時間は、店舗の営業時間に依存することもしばしば

以下は私が以前働いていた店舗のシフト例です。

店舗営業時間  :  9:00〜22:00
薬局開局時間  :  9:00〜20:00

シフトA  :  9:00〜18:00
シフトB  :  11:00〜20:00

開局時間が長いとはいえ、複数人で対応するため拘束9時間、労働8時間の基本的なスタイルは守られています。

また、一人薬剤師の店舗では、拘束10時間、労働9時間となることもあるため、

残業代が多く欲しい、稼ぎたいという方はマネージャーなどと相談することで希望の働き方ができることも。

24時間営業の店舗では夜勤専属の正社員やパートさんがいるため、

日勤のみを希望する人が、夜勤を強制されることはありませんのでご安心ください!

ドラッグストアは長時間勤務が続いてきつそう…と思われる方が多いかと思いますが

労働時間は8時間であることがほとんどです。

②日曜・祝日に勤務がある場合がある

ドラッグストアの調剤でも日曜・祝日休みがほとんどですが、中には365日開局している店舗もあります。

これは周辺のクリニックに依存するため転職時や配属時に確認しておくようにしましょう。

日曜や祝日に働く場合は比較的勤務時間が短い印象です。

「周りの人と休みをずらして何かと空いている平日休みが好き!」

という方はドラッグストアに向いていますね。

もちろん、週2日の休みはきちんととることができますよ!

③レジ打ちを行う場合がある

OTC医薬品を求めて店舗を訪れるお客さんも少なくありません。

薬剤師が対応する必要がある第一類医薬品や要指導医薬品は、そのまま薬剤師がレジを打つこともあります。

しかし、今では調剤薬局にも雑貨やOTC医薬品が多くありますし

ドラッグストアに限ったことではなさそうですね。

レジ打ちも慣れてくると常連さんと顔見知りになれたりするので楽しいこともありますよ。

よく「レジ打ちばかりさせられる……」

なんて話も聞きますが、これは新卒で入社した直後の店舗の実務研修期間であることがほとんどで、

研修が終わると薬局の業務に専念できます。

中途で入社する際は、薬局内で使用するレジの基本的なレジ研修以外に

長期間レジ打ちをさせられることはありません。

まとめ

何を大切にするかで考える

人によっては収入を増やしたい、プラベートの時間を大切にしたいなど

何を求めるかは異なります。

ドラッグストアは激務な印象を持たれやすいですが、労働環境の見直しなどで

長時間勤務の廃止や有給取率を向上させるなどの取り組みがされるようになっています。

また、母体が大きいため福利厚生が整っており、しっかりと有効活用している薬剤師が多いです。

まずは、実際にその企業に勤めている薬剤師がどんな働き方をしているのか、経験豊富な転職エージェントに聞いてみることをおすすめします。

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